写真映えするお宅が増えてきた

昔は取材現場に到着してみると、「わ!」というお宅が時々ありました。「素敵!」というわ!じゃなくて、「わ、どうしよう!」のわ!です。

ひとつは片付いてないお宅。いや、たぶん片付けようと頑張ってくださったんでしょうが、モノがあふれ出てしまっている。飾ることを想定されてつくられただろう棚に、日用品が詰め込まれている。プラスチックの引き出しケースなどがやたらある。

ある程度の生活感はもちろん、どんなお宅にもあります。雑誌の写真を見て、「みんなこんなにきれいに暮らしているの?」と言う人がいますが、そんなはずはありません。たまに「ええ、普段からこんな感じです」という方もいらっしゃいますが、たいていは見せたくないモノをちょこちょこと見えない場所に移動して撮影しています。

でも「ちょこちょこ」ではすまない大移動が必要なお宅が、以前は結構ありました。「引っ越しの手伝いに来たのか?」と思うほど、撮影にかかる前に疲れ果てるようなお宅も。今もまあ、ありますけど、割合はぐっと減っています。

もう一つは、建物はいいのに家具が残念なお宅。建築家さんの物件に多かった気がします。建築家さんは建物が完成すると、「竣工写真」というのを撮られることが多く、これがまあ、建築カメラマンという人が撮ったシュッとカッコいいものなのです。その写真のイメージで訪れると、以前から使っておられたらしいテーブルやソファが・・・というパターン。日用品のように隠して撮るわけにもいかないので、一層困りました。

こういう「わ!」というお宅がほんとに減り、写真映えするお宅が増えました。一般の方のインテリア意識が高まり、センスがよくなったとともに、「建築」だけにこだわるのではなく、暮らしも考える設計士さんが増えたこと、いわゆる「設計事務所」だけではない、身近でおしゃれな工務店などのビルダーが増えたこともその一因だと思います。


soho MUGCUP

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住宅ライターが綴る、家のこと、暮らしのこと、書くこと、仕事のこと。。。