窓に向かうキッチンが好き
「キッチンは対面式に」。家を建てるときによく聞く希望の一つです。実際、今では取材にうかがうお宅の9割以上がアイランド型を含む対面式かも。つまり、壁に向かうキッチンは新築住宅では希少です。はじめて家を建てる人は子育て世代が多いので、「子どもの様子を見ながらキッチンに立てる」という理由が多く、「家族団らんに背を向ける疎外感がない」「広いリビングを見渡せて気持ちがいい」「テレビが見られる」などという声も聞きます。
確かに昔の「台所」は暗くて寒い北にあり、女はそこに追いやられていた感がありますし、「ダイニングキッチン」の時代になっても、家族が楽しくテレビを見ているのを背に感じながら、うしろを向いて料理や後片付け。対面式のキッチンは女性の解放の一つの姿なんだろうとは思います。
それでも私は実は、対面キッチンにあまり興味がないというか、好きじゃないと言い切ってもいいかも。なぜかな。無理やり家族がつながろうという感じが、リビング階段と同じように好みじゃないのかもしれません。かといって独立キッチンがいい、というのでもありません。私が好きなのは窓に向かったキッチンです。
今まで何軒か住んできた中で、一番好きなのは今の家の前に住んでいた家のキッチン。古い家の小さなキッチンでしたが、流しや調理台の前が窓で、しかも前が開けていました。子どもたちのお弁当を作っていた時期なので、毎朝ぼーっとしながらキッチンに立って準備を始めると、窓からの光がジャガイモを剥く手に絡んで(わが家のお弁当はポテトサラダが定番でした・笑)、なんだかとても幸せな気持ちになりました。
今のキッチンの前にも窓はあるのですが、あいにく隣家に面していて光が入りません。でもLDKの一角にL型に配置されていて、スタイルとしてはとても好きです。L型キッチンに囲まれるように丸いダイニングテーブルを置いていて、そこで家族がワイワイ言ってるのを背中で受けながら作業する感じも好みです。対面キッチンよりむしろ、あけっぴろげなのもわが家らしいと思っています。
だからたまーに取材で「キッチンは窓向きにしたかったんです」という人に出会うと、「ですよねー!」とすごいテンションが上がります。「子どもを見ながらキッチンに立ちたくて対面式にしました」というのを聞いたときの「ですよねー」とはだいぶ違うはずです、内緒ですが(笑)。
(写真はイメージです)
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