洗濯物の似合う家
洗濯動線は家を考えるうえで結構重要なポイントです。たとえば洗濯機が1階、干すバルコニーが2階にあったりすると、毎日のように濡れて重い洗濯物を持って階段を上らなければならないし、干す場所と片付ける場所が離れていると、ついつい服の山ができてしまいそう。
最近は「洗濯物を家の中でハンガーに干してサッと外の物干し場に出す」「取り込んだ服をその場でたたんですぐ隣のクローゼットにしまう」など、自分たちの暮らしに合わせた動線をよく考えた家が多くなり、なるほどと感心してしまいます。
物干しスペースも、リビングに隣接したデッキや外から見えるバルコニーではなく、洗濯室から近くて外から見えにくい場所に屋根付きの専用スペースをつくるなど、機能的かつ生活感を隠すプランが増えてきました。共働きのご家庭や花粉の気になる人は、広い室内干しスペースをとる例も多くなっています。マンションでも「洗濯物を外から見えるように干してはいけない」ルールがあるところもあり、洗濯物は「人目につかせない」のが主流でしょう。それはとても大切なことだと思います。
でも私は、庭やベランダに洗濯物がはためいている光景っていいなあと思うんです。なんだかのどかで幸せな光景という気がします。
できれば物干し台はアルミなどの既製品じゃなくて、木製の手づくりであってほしいな。物干し竿も竹とかロープとか。洗濯ばさみはカラフルなのもいいかもしれない。洗濯物も一体になって街の景色になったらいいのにな、と。
フォークソング歌手の笠木透さんという人がつくった歌に、「物干し台」というのがあります。「お父さんのパンツ、お母さんのパンツ・・・」というリフレインが子どもに人気の楽し気な曲なんですが、実は「物干し台を見上げると思い出す、洗濯物が灰色だった、石けんのなかった戦争の時代」というテーマを歌った反戦歌なんです。
洗濯物が陽の光を浴びてのびのびはためいている、そんな平和な光景の似合う家がいいなあと、その歌を聞くたびに思います。
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